2009年3月6日金曜日

ノラ

 今日は大粒の雨がたえまなく降っています。隣の柿畑にも水溜りがたくさんできています。いまどきノラはどうしているのでしょう。昨日は3回も顔を見せました。最近はすぐに気づいて欲しいのか玄関の前で寝転んだりしています。ノラも考えていろいろと作戦をたてているようです。
 最近、内田百閒の「ノラや」と村松友視の「アブサン物語」を読みました。どちらが面白いとか、つまらないなどと言うつもりはまったくありませんが、私が猫にもっている感情は内田百閒に近いと思います。この「ノラや」を読んでいて、何回となく目が潤みました。
 ネコ好きというのがどういう人を指すのかよく分かりませんが、私の場合は、好きと言うよりある種の尊敬の念をもってネコを眺めています。恵まれた飼い猫やブランド品のようなネコはあまり興味はありません。公園や近所でウロウロしているネコに愛着があります。ノラ猫は本当のエコ生活を実践していますし、身一つで生きています。いなくなるときもいつのまにか何処かへ隠れてしまいます。そして生きていた形跡を残しません。野生生物も当然そのような生き方でしょうが、ネコのようにその生き様を身近で見ることはできません。ノラは必ずどこの家のまわりにもいます。私はノラについて次のような考えをもっています。それは、あまりにも複雑化した人間社会に対し、本当の自然の生き方を人間に悟らすために、身近なノラが存在しているのではないかと思います。こういう生き方もあるんだということを見せてくれています。このような生き方はとても怠惰で脆弱な世間に流されやすい私にはできませんが。